上記のような症状にひとつでもあてはまる場合は、歯周病にかかっている可能性があります。歯周病は静かに進行し歯周組織を破壊する恐ろしい病気。日本においては歯を失う原因の第一位ともいわれています。歯周病は自然治癒することはなく放っておけば悪化していきますので、お早めに一度ご来院ください。
歯周病とは、プラークに潜む歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こし、歯を支える顎の骨を徐々に溶かしてしまう病気です。初期には自覚症状がないため気付きにくく、進行すると「歯ぐきが腫れる」「出血する」「口臭がする」といった症状が起こります。症状は放っておくとどんどん進行し、やがて歯がグラついて、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
歯周病の危険性
歯周病の悪影響は口腔内にとどまりません。歯周病菌が血液を介して全身に巡ることで、以下のような命にかかわる病気を引き起こすことがあるのです。
糖尿病 | 糖尿病になると免疫機能が低下し、歯周病にかかりやすくなります。また、歯周病にかかると、血糖コントロールが困難になり糖尿病が悪化します。 |
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心臓病 | 歯周病菌が心臓の血管に入り込み血栓を作り、心筋梗塞や動脈硬化などを引き起こすことがあります。 |
肺炎 | 歯周病菌が気管に入ると、肺で炎症を引き起こして肺炎になることがあります。 |
また、妊娠中の方は、特に歯周病には注意が必要です。なぜなら、歯周病菌は陣痛に似た筋肉の収縮を引き起こし、早産や低出生体重児出産を招くことがあるからです。
早産・低体重で生まれてきた赤ちゃんは、身体が小さく様々な病気にかかる危険性があります。昔から歯周病との関連は研究されてきており、近年の研究では、歯周病に罹っていると罹っていない場合に比べて早産する可能性が8倍高いという結果が出ています。また、歯周病の治療をきちんと行うことで早産を防げることも分かっています。赤ちゃんの健康を考えるなら、しっかり歯周病の治療を行うようにしましょう。
妊娠を希望されている方へ
ぜひ歯周病の治療をきちんと行って、口腔内をきれいに保つようにし、いつでも赤ちゃんを迎えられる状態にしておきましょう。当院では、歯科検診も行っていますので、一度お越しください。
妊娠中の方へ
つわりなどでなかなかブラッシングができない状況もあるかと思いますが、口腔内にあるプラークや歯石が歯周病の発生・進行につながります。口をゆすぐ、歯磨き粉をつけずにブラッシングするなどできることでよいので、きちんと口腔ケアをしましょう。また、安定期に入ったころにはきちんと歯科検診を受けるようにしましょう。その際には、母子手帳もご持参ください。
歯周病には4つの進行段階があり、以下のような検査を行って診断されます。
歯周病検査
歯周ポケット検査 | 「プローブ」というものさし状の器具を用いて、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)の深さを調べます。深ければ深いほど、歯周病が進行しています。 |
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歯の揺度検査 | ピンセット状の器具で歯をつまんで動かし、グラつき度合いを調べます。グラつきが大きいほど、歯周病が進行しています。 |
レントゲン検査 | 顎の骨の状態をレントゲン撮影にて調べます。骨密度が低いほど、歯周病が進行しています。 |
進行段階
進行段階 | 症状 |
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歯肉炎 |
歯ぐきに炎症が起きている状態。ブラッシングの際などに出血しやすくなります。歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目の溝)の深さは、3mm程度です。 |
軽度歯周炎 |
顎の骨が溶けはじめた状態。歯ぐきが腫れ、ブラッシングの際に出血が見られるだけでなく、冷たい水がしみたり、口臭が出たりします。歯周ポケットの深さは、4mm程度です。 |
中等度歯周炎 |
顎の骨が半分くらい溶けた状態。歯を指で押すとグラつきます。歯ぐきの腫れや出血に加え、歯が浮くような感じがしたり、口臭が強くなったりします。歯周ポケットの深さは、6mm程度です。 |
重度歯周炎 |
顎の骨の3分の2以上が溶けた状態。歯のグラつきがひどくなります。歯ぐきが下がり歯根が露出し歯が長く見えたり、歯と歯ぐきの境目から膿が出て口臭がよりきつくなったりします。この状態を放置すると、最悪の場合、歯が抜け落ちます。歯周ポケットの深さは、8mm程度と非常に深くなります。 |
ブラッシング指導 |
初期の歯肉炎に対してブラッシング指導を行います。一人ひとりのお口の環境に適した正しいブラッシング方法を指導します。 |
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スケーリング |
比較的軽度な症状の軽い歯周病に対して行う処置です。「スケーラー」という器具を使って普段のブラッシングでは取り除けない、歯に付着したプラークや歯石を除去します。治療後は歯の間にすき間ができたり、歯が長くなった感じがしたりしますが、一時的なものなので心配いりません。 |
ルートプレーニング |
歯周ポケットのさらに深部に溜まったプラーク・歯石を除去します。また、スケーリング後のザラついた歯面をツルツルに仕上げ汚れの再付着を防ぎます。 |
歯周病の予防のために大切なのは、歯周病菌の温床となっているプラークや歯石を口腔内にとどまらせないこと。すなわち、毎日のブラッシングをきちんと行い、ブラッシングで取りきれない部分は歯科医院で定期的にクリーニングすることが重要です。
当院では、予防歯科に力を入れており、ブラッシング指導や定期的なクリーニングなどを行っています。「歯周病の進行を食い止めたい」「歯周病を予防したい」という方は、当院にご相談ください。